脆弱な梯子 | 函箱雑記帖
造形作家岩田美智子の展覧会案内、日常のいろいろなど。
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脆弱な梯子


パリでの展覧会のインスタレーションにはノベ20日間程かかった。
数年前からパリ滞在中に拾い集めた板切れや鉄板その他諸々のジャンクをギャラリーの倉庫に保管してもらっていた。
さーて!これらをどーしょー??と我ながら集めたジャンク類を前にしてその多さに戸惑ったが、展示をして行くうちにどんどん消化し結局ほぼ使い切ったから凄い。
偉いぞ私! そして展示の最後は布地加工工場から譲ってもらっていた黒いウール地を切り裂き長い布の梯子を作った。
梯子を下げたのには実は意味がある。
借りていた友人の19区アパートに程近い大通り沿いやメトロ線高架下に連なるアフリカからの難民のテント、日に日に増えて行くそのさまを毎日目にしながら生活していた。
民間ボランティアの隣人たちが食事を配給する中、難民たちは狭いテントの中で毛布にくるまり身体を寄せ合う。
その光景は日本に居てヨーロッパに押し寄せてくる難民たちの様子をテレビ画面でしか見たことのなかった私の心を動揺させた。
今、正に世界で起きている現実。
日常の光景の中に在る厳しい現実。
私たちの差し出す梯子はとても脆弱だ。それでもそんな梯子にさえ手をかけざるを得ない人たちがあとどのくらいいるのだろう、、、。
そんなことを思いながら (ナニモシラナカッタコトトオナジ)自分を戒めるように梯子の段をキツく結びこの展覧会のシンボル旗として天井近くの壁から床に下ろした。
敢えて説明はなし、タイトルも記さずただ寡黙に下ろす。
2016年10月11月パリ20区のギャラリーには私たちの結んだ「脆弱な梯子」が下りている。



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